現地に着いたその日に全員に説教することになる。お客様でもある彼らに何があったか?
というと腰まで立ちこんでバラマンディを釣っていたからである。ウェイパ近郊はポイントの
開拓が進み結構魚がつれるようになってきた。私が去年ガイドから教えてもらったポイントを
先に入る連中に教えておいたのだが、おかっぱりの常として先端楽園思考にとらわれるものも
多く。思わず浅場を歩いて先にある浅い瀬に行ってしまったのである。
実のところ彼らはワニを見ていない。日本人は皆そうだと思う。わかりやすく言わせてもらえば
アフリカの草原を1人で歩いていてごく近くでライオンを見つけたとしたらどうだろう?
殆どの場合そのときは死に直面している事態である。オーストラリアのワニがウジャウジャ居る川の
中でなおかつ彼らの餌場の真ん中で突っ立っていて近くでワニを発見するということがどういうことか?
野生において捕食者が近づいてくるときは少なくともその目的が頭にあるからということを考えておく
必要がある。見ないからこそ安全である。7時間も水にもぐったままで獲物を待て、水面2m程までは
垂直に浮き上がれ潟の上なら人間の走るスピードより遥かに速い。
水から100キロ前後の歩行可能領域を持つ脅威の捕食者である。



朝のスロープにはいろいろな人間が集まる。

とまあ暗い昨夜を経て本日の釣りを展開するわけである。魚はぼちぼちながら釣れてゆく
バラマンディをただ釣りたいならタイドグラフを見て日程を選択するほうがよい。この辺りは
日本のように約半々で潮が変わる場所ではない。朝2時間下げたと思えばその後10時間で30センチあげる
といった具合である。マングローブに挿したら挿したで魚の釣り様はあるが干満が大きいほうが
魚の移動が限定されるので釣りやすいのである。昼にはすっかり下げていい感じになる。
お勧めの潮は朝満潮昼干潮である。


まあ大抵の場合皆同じ事を考えているので予定通りいけるわけではない。それに
私個人はバラマンディという魚が釣りたいというわけではない。ここで魚釣りという枠に
はまれる自分を見出すことが目的である。日本でも同じであるが魚とのコンタクトの
割合が多く他人と戦うことより魚と自分の対峙の機会が多いところのほうが面白い。



この釣りの面白さはショートロッドにてある程度の力を持ッた魚を技術を伴った方向で釣る事にある。
センチ刻みのアキュラシーと軽いルアーもきっちり飛ばせるディスタンス能力。そして魚をいなせる
力がバランスよく必要とされる。魚釣りはどこにも運不運があるが。日本にはないバランスが
ひじょうに面白いのである。 釣るという行為に拘った事があるだろうか?私もそうだが日本では
釣り方にこだわると排他的に自分を持っていかないと自分の立場がない場合が多い。
魚釣りは魚を釣ることでありGTやマグロ等の釣りに白熱するのは魚に固執する1つのパターンともいえるだろう。
 私を含む多くの日本人がそうである。だから、トレーニングもなくただ乗っては魚をばらし続ける
人も多い。今の自分が通用する釣りで難しさを秘めている釣りとして私はここを選択しているのである。
それともう15−6年の付き合いであるキャプテンと釣りをするひとつの機会と思っている。
アナザースカイという言葉があるが私にとってはここがそうであると思う。


バラマンディはどの程度ひくのか?というとそれなりには強いと思う特に大きくなれば
姿も見れずに針が伸びることも多い。針をでかくしたいところだがルアーの重量制限というものも
あるので一概にはいかない。基本的にスローな操作で釣る必要があるこの釣りにおいて
投げやすさと釣りやすさは基本相反する部分がある。
訪れている9月は日本で言うところの2−3月というところ熱帯とはいいつつも朝晩は冷える。
なぜこの時期に来ているか?というと釣りがしやすいからである。なぜか?
それは草も生えておらず丘を比較的自由にいけるしなおかつ雨も降らず。必然毒蛇や
虫も少ないからである。特に毒蛇や毒蜘蛛は有名でクモについては日本でも問題になっている。
他にクラゲ類そして忘れてはいけないワニである。いつもは3−4月に行っていたが。台風の時期で
雨も比較的頻繁でなおかつ虫もいっぱいいるという条件の悪さが9月にはあまりない。
ただ基本春なのでスタートが遅い場合あまりいい釣果に会わない場合もある。
ガイドに言わせればいい時期は10月から11月初めらしい。その頃になると魚が大きい
ということである。ただ雨も降り始めるのでボート以外の選択肢がどれほどになるかは不明である。

まず雨が降ると山に行く道路が悪くなっていけなくなる。それに生き物も多くなる。
こっちの毒蛇はタイパンとブラウンスネークである。この2つは山でやられると基本
ご臨終パターンである。助かっても元の体には戻れそうにない。2mの蛇だが5m以内
にはいると攻撃可能らしい。そして雨が降るとおかっぱりも難しくなる。ボートも
チャンネル側から強風で出れない場合も結構ある。9月も風は強いが雨が降らない分
ある意味いろいろな選択が出来るのである。

シーイーグル
美しい鳥である。この鳥は我々が鯰やバラクーダを投げてくれるのを知っている。
パインでの初日はキャスティング初日ということもあり面白かった。とりわけ大きい魚が釣れたわけではないが
あらためてここにこれたことを感謝できた1日であったと思う。