ボストンからレンタカーにて2時間30分ケープコッドのハイヤニスに到着する。福岡から丸一日を要してやっとアメリカに
到着である。荷解きして明日からの釣りに備える。というかまたマグロつりと思われるかもしれないが私にも
付き合いというものがあってあんま興味なくなってみても選択の余地なしという状況はあるのである。
判りきった話だが魚の大きさで何釣ったから本人のステイタスがあがるというのはとっくに卒業している。
私の教え子でさえ「大きな魚で自慢するのって一般の車で一般の道で何キロスピード出した」、。という話と同じですよねという。
ジョギングで20キロを1時間で走れますとか どこそこの大学を出ましたとか ゴルフのハイスコアは3アンダーです。というのと比べれば
まったく他愛もない話ということは皆周知のことである。個人的にそんな写真ばっかりの頁ほど嘘くさく見えてしまう。
今回は合間合間に現地のローカルな魚に焦点を当てていきたかったのでその準備もちゃんと持ってきたし日にちも充ててある。
とはいえここまできたらやっぱ沖に様子見が最初である。今年の日本沿海は時期が1ヶ月遅れていた。そう感じていたのは
多かったはずである。大西洋側は事前に早いという情報で動いてみた一昨年は7月10日 昨年は6月16日 今年は6月5日である。
まあ、そういうわけでまたもやあの寒い海を体験することになるので日本から防寒着はしっかり持ってきておまけにカイロも
持っていった。
今回は新しくハーネスを作り直してみたポリカーボのひざ当てを作りそれを試したみたかった。
つりは準備するのが楽しいですねと誰かが言ったがまさに釣りという趣味は釣りにいくと決まってそれに道具を合わせている
時間も含まれると思う。
バスリバーの河口から船を出して11マイルに向けて走る1時間ほど水深40−60mの間である。現地に着くと相変わらずの
空気の冷たさである。非常に冷たい冬の海のそれである。湾口は13度ほどあるが沖は7度ぐらいしかない。
しかし鯨やへリング サンドイールの入り乱れる濃密な生き物の濃縮ジュースの中にあってその中にはマグロは希薄な
状況である。そう、時期尚早だったのである。水温がマグロのスイッチとするなら華氏で13度上がるには
少なくとも2週間以上はかかるだろう、しかし既に来てしまっている基本つれないと判っても前半の悲壮な思いで
マグロの為に来ていらっしゃる方々を思えば付き合うしかない。それでも潮待ちの間タラつりできるか?と
船長にリクエストして魚なしで終わらないように工夫してみた。岡村氏は今回マグロのキャスティング以外持って来ていない
それ以外はいらないとの話だった。潔いが修行に来たわけではないので釣れないものを釣る努力より釣れるものを
釣る努力をしたほうが現実的である。とりあえず生き物の感触を竿でかんじられる幸せがあるからである。
結局午後のケープコッドのエルボーの垂直面の南北を走り回るがタラ以外はまったく釣れず。その日を終わることになる
アメリカといえばファーストフードがメチャメチャ発達しており今回泊ったホテルは巨大なショッピングセンターの敷地内にあり
歩いて買いにいけた。チップの習慣がない日本人にとっては計算しやすくお財布にもやさしい。ジャパンと書いてあるが中国人が
やってる中国風テリヤキソース野菜炒めを食べた。
翌朝 船長のほうから沖に行くなと提案があった。それはそうである。どう考えても昨日の今日で状況が
よくなっているとは考えにくい。そんな事も有ろうかと昨日排他的にタックル不備な岡村氏をスポーツオーソリティ
に連れて行って70ドルのタックルセットを無理やり買わせてとりあえず見学は免れた。
ブラックシーバス アニメ トム&ジェリーでロブスターと共にでてくるのがこの魚そっくりである。見てくれはそこまで
よくはないが実は末端で5ポンド・100ドルの魚である。浜値でも結構な値段らしい。根魚であるのでインチク系に餌を
付けて(イカ短冊)で釣るのが通常だがコツさえつかめば餌さなしでも結構釣れる。
こっちは更に高級で美味しいらしい。唇が柔らかそうである。
この釣りで釣れるのはおおよそボウボウやポギー(黒鯛)やブラックシーバス、ヒラメ等である。特筆すべきなのは
ジャンジャン釣れるコトである。大西洋の魚影の濃さに毎度ながら感心してしまう。
通常は300人ぐらい乗れるパーティボートで釣る、我々の見える範囲にも沢山のプレジャーボートやチャーター船がある中
片弦100人は乗っているパーティーボートが見えた。それでもそれだけ人気な訳でそれなりに釣れるらしい。それがまた凄い。
ひとしきり釣って次に大きなストライパー狙いに行こうということになった。今まで見た限りでいえば潮通しのよい岬や
サンドフラットのドロップなどに付いていることが多い。基本流れのある場所を狙っているようである。が途中に別の魚
が居たので手っ取り早くそいつからやっつけることになる。私と桧垣氏はキャスティング 岡村氏はジギングで魚を狙う。
狙う魚はブルーフィッシュ大きくて6キロぐらいと思う。ジャンプするし引くし面白いさかなである。日本で言えば
シイラとヒラマサが合体してサワラの歯をつけた感じである。
リールロッドセットで70ドル(ラインは30ポンドのバークレイPE)のロッドがいい曲がりを見せる。というか
ファイト中ミシミシ音するロッドさすがに怖い。
船長が取り上げて岡村氏に渡すときバス持ちしようとして怒られた。もししたかったら鎖で編んだ手袋が
必要である。私を除いて初めての魚なので二人は喜んでいる。純粋にファイトレベルからいえば結構良い魚とは思うが
あまりにも居るし身に油が多いとのコトで殆どリリースなので減ることがない。以降コトあるたびにこいつが釣れるので
最初の扱いの良さが後半には殆ど見られずぞんざいに扱われ可愛そうな魚であった。
岬に伸びる浅瀬深さ4−6mのドロップに向けて船を浅いほうから流す。そうすると底近くにステイしているストライパーがヒットする
顔はあんまり可愛いとはいえない シーバスによく似ているが幅があり同じ長さでは重さがある。パワーはかなりあるほうかと思う。
船長が先ずジグにイカ切れ端のドロッパーで小さいのを(80弱)釣り上げる。
我々は一応ルアー単体でバイブレーションを使ってみる。私は引き続きスピンテールを検証バイブレーションの
桧垣君に魚はヒット。重々しいひきである、なかなか浮いてこないし重そうな感じである。このサイズ丘からつったら
さぞしびれるだろうと思った。
一方スピンテールを使っている私はというと結果的にこいつでは他のが先にかかるし
日本のシーバスみたいに簡単に釣れたりはしないみたいであった。遊泳層に微妙な差があるのか?
バイブレーションのように水を押せるのがいいのか?わからないが 深く曳くとバスが掛かりちょっとでも浮かすと
ブルーフィッシュがヒットしてしまう。(笑
勿論船の流れ方にあわないというのもひとつはあるだろう。またもや船長がひときわ大きなストライパーをヒットさせ
大きなクーラーに尻尾をまげて入れた。近所に配るのだそうだ。
周りにはツリーリグでトローリングでストライパーを狙う船が数隻居た。
暫くやって釣れないので
今度はヒラメつりを行う。ヒラメはボトムすぐ上でジグをヒラヒラさせておく。
気が長い釣りではあるが。ここあたりではかなり代表的な魚種である。以前パーティボートに乗って餌ではかなり釣れてはいたが
ルアーでは釣り切れず苦しかった。そのため色々持ってきている。前にも述べたが観光釣りではないので何回か行って見て
そこに合ったものを考えて自分なりに使えるものを作っていくというのが私の身上である。今回はさすがに餌さ3本枝仕掛けには
劣るが80%程までは追従できる釣りができている。
日差しは強くなりいい感じである。明日は最後にマグロをまた沖に探しに行くことになるだろう。
私としては結果は予想できる土日挟んで来週に望みをかけたかった。
今日は夕方家に来いと船長が呼んでくれた。コチジャンで刺身を始めて食べたが結構いける。
船長の奥さんが作ったチャウダーが最高に美味くて3杯もお代わりしてしまった。
翌朝5時にイレブンマイルに行くことになる。港から直ぐは晴れていい感じだったが30分も走ったら真っ白の雲の中
というか霧の中である。40mぐらいの視界しかない。それでもレーダー見ながら走ってポイントに到着した。
滝つぼの見学行ったみたいにジットリと体についた水滴が大きくなって下に落ちてゆく。
霧の向こうに鯨の呼吸音が時折聞こえる。ふと水温を見るが一昨日より1−2度上がったのみである。
昨日はトローリングで1本とワームであがったらしいそれが800ポンドだったらしい、300kgオーバーのひきってどうなんだろう?
まあ、ドラグがこれ以上あげれないのと体が持たない時点で長いか短いかぐらいしか変わらないのは間違いない。
というかそんなの掛かったらやっぱ交替する。そんなことで体壊したくない。毎回なのだがマグロに向けて
準備で運動中に人生初のギックリになってしまって現在ギックリ後10日経過中右足は痺れており階段の2段上がりが出来ない位。
それでも船釣りなので先週はトカラで船に乗っていたのもあり現在はやや好転していい感じなのだが マグロのファイトは
確実に無理。3年前に坐骨神経やった時は1年間左足が痺れていた。それもマグロ絡みであった。
まあそんなコトイッテも300隻の船で1−2本の幸運くじを私が引くわけがないと内心思っている。(笑
暫く探していたがマグロはまったくである、時折何やら怪しい影は映るが
基本釣れる雰囲気はない。
他の二人は最後なので魚が活性低いなら餌はどうかと提案してみる。船長も大賛成サッサと桧垣君の
仕掛けをジグから餌の針に付け替えである。一本はある程度沈めたものと表層の2本である。
というかこんなことしたらマジで何ヒットするかワカラナいよね。でも周囲は釣れていないので
遊びにはサメでも何でもいいかと思っている。私はまあ真面目にジギングしてみている。
と目の前にアオザメの子供がうろうろしていたのでとりあえず船にあがってもらった。顔は
ジョーズのそれだが可愛い10キロないかも。こいつが200キロぐらいになると狂ったようにジャンプするカジキより
引くと言われているサメだが実際は大抵の場合ライン切れで終わる。
そしてオッサンチーム最大の山場?なのか最大の獲物がヒットするのである。私は一部始終を見ていたので
面白かった。先ずは向こうから浮釣りしている方向にそれはやってきた、おそらく日本人でこいつをヒットさせ
た人間は早々居ないだろう。水面がざわついて鳥が周囲を回りだし次の瞬間バーチカルに下ろしていたほう
の風船が容赦なく斜めに沈んでドラグ20キロ対応の竿が根元から曲がった。私も出していた他のラインを急
いで巻き取りにかかった。PE10号を480m巻いていたリールは瞬く間に痩せてゆき残りが乏しくなる。やっと
皆仕掛けを上げて桧垣氏もギンバルやハーネスのセットが完了、直ちに船が転進し獲物と並走が始まる。さ
すがPE10号あの勢いでも切れなかった。フォローに入っているのでラインがドンドン入ってゆくこの時点で獲
物が何かわかっていたのは私とキャプテンのみ当の本人はマグロだと信じていた。いや、価値で言うならこっち
のほうが高額である。残り50mぐらいまで巻いて相手が浮上してきてやっと桧垣氏も状況がわかったのである。
相手は少なくとも10ットンはありそうな立派な鯨である。船長もこんなことは初めてらしい。どこにヒッカかって
こんなことになったのか普通は避けるはずの賢い生き物のはずだがまさかの状態である。船より確実にデカイ。
「残り短くしてラインを引きちぎるしかない」。船長はいう。鯨の方向が安定してから船長が腕にラインを巻いて
ブレイクさせた幸運にもラインの殆どが回収成功鯨の負担も最小限におさえた。いやしかし貴重な体験である。
やつらのヒキトきたらやっぱバタフライなので魚と違う波長の長い尾の動きが竿にも伝わってきていた。やつらが
キレヤスイ習性じゃなくてほんとに良かった。今回は桧垣氏初日には竿を海に投げて最終日には鯨と一騎打ちと
数々のネタを作ってくれたがもう最後だよねこれで終わりだよね?もうあきらめようよ(笑)
マグロ釣り師ってダービーに金つぎ込みまくるギャンブル狂のおっさんたちにそっくりである。