序章
私にとってこの国はある意味 難しく超えがたいが甘美な快感ももたらす。
魅力を持っている場所である。
剥き出しの自然とそこに済む生命の調和のレベルがより釣り人に魅力的
な場所だと思うのである。
昨年のツアーで一応の完結にしたかったが色々と調べるうちにまたもや
もう一度あの状況に陥りたいという体の欲求がそこに足を運ばせることになる。
実は最近自分がある種の病気だということに気づいた。10キロの装備で
磯を歩くと爽やかになり、家で椅子に座ると調子が悪くなるという変わった病気である。
つい正月も家におらずに車で正月を迎えることになるぐらいである。
まあ大分浮世離れしているのは自分で感じてはいるわけだがここに毎年来る
のもまあおかしな話である。オーストラリアにて大きなバラマンディを釣ろうと
思うならブッシュでボートにおけるつりをすべきではない。
奥地のダムに行き餌を投げるかトローリングが正道だと思う。
では何故18年もここに来るのか?まあある種の引きこもりの一種ともいえるかもしれない。
なんというかダムに行くにはもう少し自分に甘くなってからいってもいいと考えているのだ。
基本的に一般庶民色の強い家庭環境の私にとっては1年に一度のわがまま的な部分もあると思う。
庶民故に色々とエントリーを考えて無駄に足掻くわけである。
簡単に今回は成田発の48000円往復のジェットスターにした。このクラスの
就航でかなり客は増えていることだろう。逆のオーストラリア人の来日も増えているらしい。
でその安い便にカンタスの高い国内料金を上乗せして8万程度でウェイパに降りることになる。
一時期は108円をマークした豪ドルだが今は80円台を推移している。
前日まで不眠で仕事をしたおかげで家を出て3回寝たら現地に到着していた。
ホテルに着くと早速に荷解きが始まる。ここに持ってくる装備は上が4500番1個
3000クラスが2個という感じである。ルアーはフックをつけずに持ってきているのでフックとリング
を洗面台に水を張って調整してつけてゆく。通常10個も持ってゆけば事足りるのだが
根がスケベな私の場合色々持っていかないと気がすまないのである。ルアーは基本9センチから11センチ
サラトガやブリム等のサイズになると7センチというあたりだと思うが一番の要はフック。
フックの性能がかなり重要になる。基本自分のファイトの性質にマッチした針選びが先決なのだが、
ルアーの性能の問題があるのでその選択はかなりシビアなものとなる。場合によっては腹に1ッポンのみとか
バイブレーションのようにフックサイズに段差をつけたりと色々と行う必要がある。バラマンディは案外口切れしやすい。
この点はヒラスズキにも通じるところである。ハイテンションで釣るとあっという間に
すっぽ抜けるが止めないとブッシュやロックに泳いでいってラインブレイクしてしまう。このアタリが非常に難しいのである。
通常私が使うのは41TNシリーズか56までの太軸である。TNの形は結構好きなのだが
軸に問題があるので小さくて浮力の弱いモデルに使う、それとヒラスズキと同じくアタリが弱い時に多用するのである。
リーダーシステムを組んでルアーをセットして壁に立てかける。初めてここに来てから18年が経過しているが
何も変わらないアルバトロスリゾートの室内は簡素な部屋である。ブラウン管テレビをつけて適当にチャンネルを回し、
桑野氏と交替でシャワーを浴びて買出しに出かける。明日からガイドとの釣りであるので付いた日に買出しをしておくのがよい。
本当は釣りに行きたいがここで買っておかないと朝飯をガイドが持ってきたバンとコーヒーで済ますことになる。
ここにくると基本便秘になる。キャストという上半身の運動とバランスをとり続けるという行為がそうさせるのか?
そうなってしまうことしばしばである。そのためヨーグルト系の朝飯は必要不可欠なのである。
それに麦茶や緑茶用の水を買い込む。それと虫除け草履などである。こちらの蚊やサンドフライに対
して免疫が無い我々は刺されると基本2−3週間完治に時間がかかる。夜襲い掛かるかゆみと闘うのも
嫌なのでその防除は念入りである。時間ができたのでマンゴーパークに行って見る。桑野君がいい
サイズのクイーンを釣り岡村さんがバラマンディを釣り上げた。飯を食いに行く前に電話が鳴った。
ガイドのキャプテンデイブである。18年前バリークロスに奥地にバラマンディを釣るガイドの紹介を
頼んだら彼を紹介された。あの頃はケビンコスナーみたいな顔していたキャプテンデイブもいまは
ブルースウィルスみたいな立派なピカリンおじいさんになってしまった。
その彼から電話である。訛りがきついのでよくわからないのだがどうもモータが1個壊れていて
1個はエレキで釣るすると言うことらしい。
なんか悪い予感がするので一時的に「俺英語判らない」。という状況に陥りたかったがしっかり聞いてしまった。まあいいや、
前回はエンジン破壊で途中下車だった。上流に行くならオカッパりでもいけるしむしろその方が都合がいい。
次の日やっぱり間違いなくエンジンが一個壊れたと改めて聞く。エレキでワニが居る
ウェンロックの川に入るのもちと不安はあった。
しかもボートは14ftあたりのフツーのアルミである。ブラックウォーターという映画を見たことがあるだろうか?
もし私のdvdをみていってみる人は事前に視聴されることをお勧めする。2年前に私がいないときに
川に立ちこんで釣りするツアーの連中をこっぴどく叱った意味がそこでわかるはずである。
ワニは決して臆病でもなければ鈍くも無い。とりあえず不安はあったがいまさら辞めるほど賢くは無い、
いつものパンやでバンと飲み物を買い込みいざ奥地へと車を進めた。
インターネットの普及で素晴らしいアイテムが開発された。グーグルアースである。
これとGPSさえあればおそらくいけないところは無い。ウェンロックを遡ると蛇行する河川の右左にラグーンが見えてくる。
そのあたりに幾つかのキャンプサイトがありそこを借りているのである。
ラグーンがあるということはつまり雨季にはそこは広大な湖と化すということである。そこに魚やワニが残る。
ミッションリバーの橋を渡り
しばらく行くとハイウェイが終わりダートに変わる。マプーンアボリジニ居住区への道路である。
それを80キロでしばらく走ると直交した道が
あるそれを右に曲がるとストーンクロッシングという地名の場所に向けた道路に入り本格的なダート道に入る。
道をふさぐように倒れている木を避けて雨季には溝になるであろうくぼ地をクリアーしつつ四駆とトレーラーは進んでゆく。
何回行ってもここにレンタカーで一人で来ることはないだろうと思うまずそんな気にさせるばしょである。
3時間半後迷いながらも到着した。なんというか子供が作った秘密基地的な感じの建物である。
蛇やカエルはおそらく入り放題であろう。ここでどうやって寝るのか?
かなり不安になったが、デイブが蚊帳を持ってきてくれていた。
フックミスの嵐。
早速ガイドがキャンプの用意をしている間下に下りて釣りをしてみる。ワニが居るので注意しろときつく言われている。
私はやつらを何回とも無くみる機会があったのでかなり用心気味である。最近は保護されているので基本増えている感じらしい。
平気で陸にも上がってくるので5mは離れて釣る事になる。真面目に危険である。
シンキングのスミスのシーバットをチョンと投げて手前までひいてくると後ろからデカイ70センチクラスがギラリと見えた。
岸までの距離が短すぎたおかげで鼻で押されただけで終わってしまった。おまけに2投目には待ちすぎて手前の倒木に引っかかってしまった。
最悪である。手前が深いのでルアーをとりにいけない。ルアー1個と自分の命を引き換えにはできない。
そんなオーバーなと考えると思うが。30mと離れていないサンドバーには巨大なマークがしっかりと付いていた。
彼らが日中潜む場所は淀んだ深みつまり今釣っている場所以外は無い。
しかし既に魚を見ているおかげでかなりやる気である。おっかなびっくりに木を盾にしながら先に進んでゆく、
水面から2.5m辺りまで行く。水面というか水中をかなり気にしてみている。意識的には50%が魚釣りで50%が危険予知ぐらいである。
で幸か不幸か?サラトガがヒットする。あまり大きくないし岸よりだったので直ぐにあがって足元の草むらに横たわっている。
しかし斜面に爪の跡を発見してちょっと考えてしまう。まあしょうがないのでさっと捕りにいって木の間に戻る。
ワニは何に敏感か?というと実は音に敏感である。水面をドンドンたたく音これにかなり敏感である。
ということは魚が暴れて岸に上がるときの音などかなり魅力的である。以前、バラマンディをオカッパりで釣っていたときバラマンディがエラ洗いをした
直後直ぐ目の前にワニがあがってきて獲物を横取りされそうになったことがある。というか3mも無いやつだったがやつらの目がいやらしい。
まあそんなことを頭で考えつつもサラトガが釣れて嬉しかった。非常に肉の薄い尚且つ柔らかい肉の為フックが外れやすくかなり苦労する。
ビデオ中でも3回は簡単に針が外れていることを見てもそれはうかがい知れる。ボートの用意ができたのでいよいよ釣りをしてみることにかなり
期待している何故ならオカッパりしているのはここの上流であるからでボートならどれ程かかなり期待できる。
ボートはいざ上流部を目指すといってもキャンプ地から目と鼻の先であるが。ワニが居る島の周りからスタートしてつってゆく。
デイブの船はエレキ我々の船はエンジン船である。潮は上げ潮である。ただ結構強く流れている。
川の景観は素晴らしい倒木だらけでどこもポイントである。次々に思いのポイントに投げてゆくがなかなか釣れない
が、デイブの船に乗っている岡本さんと前田君はいいポイントに入っているらしく入れ食い状態である。
クワマンと私はポイントに対するアドバンテージの問題か?みる目が無いのか?たいしたヒットは無い。上流に向かって4ノット程度は流れている。
ポイントをポツポツ打ちながら上流の曲がりに差しかかってサンドバーにあがってみる。と、ここにもまたもやグッドサイズなトカゲマークがあった。
なんというか当たり前といえば当たり前である。彼らは陸上の動物ばかり食っているわけではない、
当然、魚も食べているはずである。となると魚がウジャウジャいるところのほうが生活しやすいわけで
釣り人や漁師とのバッティングはさほど珍しいことではないわけである。ただ、我々も餌になるというだけのことで。
でそのマークの横から曲がりのよどみに立っている立ち木に向かってルアーを投げる。一発でサラトガがヒットするが一撃でばれた。
というか連続ヒットさせるのだが
かなりばれまくる。どういう感じかと言うと普通ーにのったかと思うとばれる。セットフックのあおりでバレル。ジャンプでバレル。
ファイト中小枝に当たってばれる等結構いい感じで連続する。まず距離の問題もあると思う。
岡村さんや前田君あたりだとかなり近いスポットから抜くのだがそうなると魚にもチャンスが無い。我々クラスになると
飛距離の限界あたりで食わせないと気がすまないので思いっきり投げた場所でヒットさせてしまい距離が長い分
魚もチャンスが多いということになるのである。それでもスケベな2人は思いっきりキャストでの釣果にこだわり、
魚にルアーのお勉強をさせ続けることになる。やっと帰る時間になってクワマンがいいサイズをトップからランディングに成功し、
絶叫してその日を終わる。船を桟橋に着けて川の水の表層の部分をすくって真水を確保する。それをバッテリー駆動のポンプで浴びて
適当に体を流す。豆シチューと肉を食べた後寒くないのだがキャンプファイヤーにあたり眠りにつく。
あたりはかえるだらけで時折何かに捕まったか?ぎゅー」という音が直ぐ横の林から聞こえる。
他方からはカンガルーが直ぐ近くの林を歩いているガサガサという音がする。空を見上げると振ってくるのでは
と心配になるほどの明るい星星ここで長生きできればそれはそれで幸せだろうと思った。
毒カエルもいる。こいつの粘液は蛇はおろかワニも殺すらしい。(やってみたい)
蚊帳の外はむき出しの野生である。以前デイブが言っていたがラブリバーのほとりで
蚊帳なしで火のそばで寝ていて気配がしたので目をあけたら目の前にディンゴがいたらしい。
日本人にない感覚だと思うのはひさしがついているとはいえ蚊帳という薄い殻やそのままで
この場所に来るという感覚が男にすら希薄になっている感覚といえるだろう。
ここが違いである。家の建ち方を見ればよくわかる。郊外のふつう静か過ぎる藪の中や海べたに家を建てたがるひとと、
超高層化してでも団子になって一緒にいないといけないひとたちとのギャップともいえる、
この国にも確かに人それぞれの事情はあると思うが。基本日本人は利便性と快適と心の安静との
バランスがとれているとは言いがたいところがあると感じる。
話は戻るが国が国なら棍棒で〆られて朝飯や強盗などに襲われかねない状況である。
そこで日本人の習慣として爆酔までは到達しないところがある。結局夜明け前にこっそり起きて
ズボンを履き薄暗い中を音を立てないようにがけ下の川へと行くことになる。水面はやや下げていた。
夜間ボートが座礁してボート同士が折り重なっているが今それを修正するには水位が危険であるし
おまけに人をたたき起こすことになるのでポイント独り占めができなくなる(笑
けっかほったらかしておく、川沿いの小道をゆっくりとあるく、もちろんここで行方不明になるのはいやなので
細心の注意をはらう。
朝なので期待してダブルスィッシャーを使ってみた。木の間から川側にかぶっている木の下にプラグを打ち込む。
2−3回短く動かしただけでいきなりそれが消える。アーチャーフィッシュ(鉄砲魚)
この国のブッシュキャストではおなじみの魚である。淡水よりにいるが海水でもOkである。
最大で2キロサイズほどまでは釣ったことがあるが基本こいつらは貪欲で蝿だけ食って大きくなるわけではないようである。
そいつを4−5匹連続で釣り上げる。もちろん狙いは別の魚なのだがどうやら汽水の割合の問題なのか?
ポイントの問題なのか?今日だからか?このルアーだから?かわからないがヒットはなかった。
やはりやや沈んだほうがよさそうである。昨日からの傾向を見てもその気配は十分感じられた。やはりシンキングミノーか?
岸よりをさらに奥にいくと小さなクリークが入り込んでいてそれより上にはいけなくなっている。
そこでクリーク側にやや入り込んでつってみる。足場が高く急に深い場所なのでUSUのビバノンを結んでみる。
それを木の間から振り子みたいに適当に送り投げして表層を引いてくる。スタバのラテとおんなじような色の水の中に
唯一うごいてみえるのが自分が引っ張っているルアーなのだがそれがやや角度がついてきて立ち泳ぎに近い状況で
ゆっくりになったとたん水面が炸裂してサラトガがヒットした。これを70hという暴力的なロッドで旗揚げの要領で捕りこんで記念撮影した。
この魚見れば見るほど可愛い別に飼わなくてもいいが、なんか小学生のとき
雷魚釣りを始めたころのようになんか憂いやつに見えてくるのである、もう一匹アーチャーを追加してメインカレントのほうへもどる。
竿の音がする方をみればクワマンである、彼は魚釣り病にかかっている貴重な人間である。なんというかいつ電話してもほぼ釣り場にいるという男である。
彼も私と同じで朝からアーチャーの洗礼をうけたらしい。
私は今シンペンなので対岸にできたサンドバーから伸びるドロップを意識して流してみる。するとサラトガらしきものがヒットしてばれた。
都合3回ヒットしたが3回ともばれて2回はサラトガのようだった。
いよいよ朝飯ができてそれを食い出発することになる。昨日と今朝の状況からやはり距離があるとかなりばれやすいことと
尚且つ水面を割らないルアーのほうがいい感じがした
。そこでEGからもらった3本針の珍しくやや動きそうな細身のルアーにぎりぎり沈むか浮くかの針をつけてつってみる。
ボートは緩やかに上流へ満ちこむ潮の流れにのって対岸の島影に、島のサンドバーひときわ目立つマークがついている。
やはりいるのだ昨日はなかったということは夜半か?それを思いつつ昨日岡村氏たちが入っていたポイントに入ってみる。
が昨日の今日のせいか?潮位のせいか?わからないがノータッチ冷たい反応である。そこで水路側にキャストしてみる。
4回ほどなげたあたりで乗りかかるようにサラトガがヒットした。きょうは3本フックであるしかも細長いチャンスは多いはずである。
おまけにフッキングもやや強めに行うようにした。今回は外れなかった。がこのボートいつも常備されているはずの網が乗っていない。
ちと困った。クワマンが持ってきていたボガを借りてやっとランディングであるが、運がよかった枝やボートに数回当たったにもかかわらずばれなかったからである、
昨日と違いハズレのないスタートで始まった2日目の朝は次の問題に差し掛かる前までは昨日のようなギクシャクした
船上の雰囲気ではなくこれからの期待にあふれた状態であった。河口から数十キロ上流であるこの場所には依然潮の
満ち引きが存在しまた複雑な時間でそれが起こるのである。たとえば日本であれば長潮や若潮を外せば規則的に6時間毎に
潮の干満が起こるがここは違う2時間引いて17時間引くとか7時間ひいて1時間上げて8時間下げるとかである。
日本の感覚で甘く見ていると大変な目に遭いかねないところである。でその潮が昨日夕方は強力にあげていた、
しかし今朝もあげであるただ昨日のように激しく上げているわけではないただゆっくりととうとうと流れている。
上げるということは昨日より下げているということで昨夕何の気なしに通った川は今朝はとんでもない状況になっている。
数十本数百本という倒木しかも巨大なものは太さ1mはあるそういったものがまるで険しい渓流に転がる岩のように流を阻害している。
釣りのポイントとしてはとても魅力的なところは間違いないが当然のごとくポイント移動はボートから木をつかみ、
足やオールで押して進むことになる。なんというかフローターやゴムボートの方が帰って楽かも知れない。
しかしもしフローターでいけばまるで浮きが消しこむように川底へと沈むことは間違いない。
汗だくになってボートを動かし開けた場所に入ればパドルからロッドに持ち替えてルアーを送り込んで魚を釣りあげる。
労働の割合と釣りの割合は約半分ぐらいボートにしてはかなり効率が悪い。やがて昨日上陸したトカゲマークのある
サンドバーあたりに差し掛かる。その対岸のよれでバラマンディがヒットした。が、取り込んだあとに
その陸側の水面から1、5mほど上にあるテープルフラットのエッジに新しいマークを発見した。かなりの高さを垂直に上った跡がある。
勿論今乗ってるボートのデッキより遥かに高い。こいつらの運動能力を甘く見ていると今に命を落とすだろう。
先端に乗ってパドルを漕ぐ時は注意しないと一気にやられてもおかしくない。といってもすでにこの場所にこのボートでいる事自体問題なわけだが。(笑)
そのヘアピンカーブしたポイントでいくつかの魚を釣り上げる。出口付近で1.3mほどの子供のワニを発見して悪戯にルアーを投げてあそんだ、
こいつらは基本用心深いのだが子ワニになるとやや近づいても目と鼻だけ出して浮いていたり 一旦カバーの中へと入ってシェードからこちらを伺っていたりする。
ルアーを投げると当然反応する。思い切りフックしてばらしてもその場に浮いていたりして次にルアーを投げてもまたヒットする。
たいてい3回程度は同じワニをフックすることはできるがワニによっては5回連続でアタックというのも珍しくはない。
2艘のボートでの釣りであるのであまり長らくいる時間もなくワニをあとに更に上流へとボートを進めてゆく、
ジャングルジムのように折り重なった木をぶら下がりながらよけて進む。このあたりの川底は基本砂である。
岩もたまにはあるのだが基本やわらかい地層を20mほど水の流れが削った新しい若い感じを受ける流れである。
恐らく潮の干満や周りに広く存在するラグーンの点在状況から川のコースは例年動き続けている可能性がある。
川の両岸の泥を削り木を倒しつつ流れを変えてゆくのである。倒木は格好の魚の住処となっている。
昨日に引き続きデイブが新しいハウスを発見した。次々にサラトガがヒットするが
昨日から引き続きトップペンシルを使っているクワマンはあいも変わらずばらしまくっている。気持ちはわかる。
日本では電撃フッキングという言葉がある程に早合わせで解決することは結構多いが、
この国の釣りはいまだ遅いあわせがよしとされる。事バラマンディとこのサラトガに関してはその傾向にある。
それと考えると桑野氏をはじめとする日本のトップクラスの釣り師は苦しい状況になるのである。私も同じで当然目視でセットフックする魚において、
自分のタイミングというのは当然存在するわけでじっくり飲む込むまでなどというつり方は当然やらない。それが大事と思うなら、
硬いロッドは作る必要はない。だが、昨日のままであるといけないので3本フックのついたミノーを選択しているのである、
ただ桑野君はトップでというくくりにこだわっているわけでそうなるとかなり沈んでからあわせる必要があると思うのである。
ジェントリーという言葉が飛び交うよりソフトにあわせろと言うことである
こと無理やりがタブーとされるフックにもファイトにもである。
確かにこの国の釣りはある程度進んでいるし25年前なら日本の
つりのほうがレベルは下だっただろう。日本にも色々流れがある。柔らかいロッドトップの釣り
と呼んでいるが日本のルアーの70%以上がこの流派といえる。ここもそうである。ただ
クワマンや私が求めているものはそれとは違うもの、魚がルアーの周りをよぎり一瞬の間の後に
ヒットする。だが2つの道がある魚が針のついたルアーをシャブらせながら運よく自動的にフックするか?
魚が針の近くに来たのを狙ったかの様にフックするかは実のところ大きな差がある。
魚が持っていってからあわせるのであれば別に餌でもいいかと思う。だから世の多くを否定
して偏った場所にいる。例えば人の多くは結果にはこだわるが過程にこだわることは少ない。
いくら金儲けたということよりどんな生き方したのか?にこだわりたい。勿論自分なりであり
それが自分の人間的程度とも言えるだろう。それがやや懐疑的でってもただ行動が納得に
足りうるのかという部分にはこだわる必要があるというわけである。
現時点てその結果マイナスな状況にいるのは間違いない。
他のボートで4本抜ける間にこっちは0という結果に終わったからである。まあミノーとトップの差ともいえるが。
ハウス多くの魚が群れてついているブッシュのことをさすのだがこの手のつりは依然
馴染みが薄いというか面白くないので乗り気でないのである。トーナメントならいざ知らず
何回も同じポイントに投げるということに対してやや抵抗があるのは私に限ったことではない。
入れ食いという言葉はある意味こういうポイントに対して使うのが正解だろう。
そこをできるだけ無視して我々のボートは更に上流を目指す。
我々の船は昨日と同じエンジン船でデイブの船のように行動範囲に問題があるエレキ船ではない。
しかし音や圧力が影響しているのは一目瞭然でそれを理解したうえでポイントへの
ルアーアプローチが必要になっている。必然的にエレキとエンジンではポイントに対するスタンスは
かなり違ってくる。それを技術でカバーしつつ魚を釣るという言い方はいささか言い過ぎであるが
ロングレンジでの釣りとなり昨日のパターンと同じでラインスラックを考えてあわせを入れないと
あっという間にバレルという状況になる。既にジェントリーなんて言葉はどこかに吹っ飛んで魚が吹っ飛びそうな
勢いで鋭く巻き合わせしている。さすがに2日目にになると我々もかなりなれてきた2回に1回はフック成功するように
なってきた。3フックのプラグなら80%はフックできる。基本このてはバレルということにこだわるより
どうやって綺麗に食わすかを考えるほうが先決である。しっかり食える状況を作り出すことに力を注ぐ。
カバーの奥に投げ込み暫く(気持ち)待つそして一旦水にプラグを潜らせる、ルアーが水面に再び浮かぶ直前で
潜るように再び潜らせる。大抵ストラクチャーに近く打っていれば2−3回のうちに水面下に紫金色の独特のウロコが
反転しロッドに衝撃が伝わる。それを鋭くあわせるととりあえずフッキングはするのだが、予想以上にクネクネするし
顔付近の肉付きの不均一さでフックが抜けてしまいフックアウトする。もしくは運良く口腔内にフックしていればそれを
手に触ることができるのである。まあ、ブッシュに投げて10ッぴきのうち1−2匹ぐらいの話であとはスーティグランター
やアーチャーフィッシュが殆どと言う事になるわけなのだが、基本フックする順番はサラトガが早そうではあるが
長くやっているとそうともいえない部分がある。例えば、大きなログ周りなどで散々アーチャーを釣ったあとでしたから
巨大なサラトガが出てきたりしてびっくりというのも多い。基本的にこいつらは回遊癖があるようである。
大きく周るわけではないがヒラスズキのようにある一定のラインを周っている可能性がある。餌を見つければ
襲い掛かるのだがそのエリアはかなり狭いというのも考えられる。奥行きだけではなく深さにもである。
かなり上流に来たもう直ぐストーンクロッシングである。ストーンクロッシングというのは岩が剥き出しの
瀬のことでここを渡って対岸に渡るという場所であるが
これがかなりの流れでしかも普通ーの渓流である。それをランクルで渡るということなのだが 真ん中の10m程が
見た目とても渡れる感じではない。深いところで1.5m−2mは確実に有るし凸凹のスリットなのである。
こんなところを600万もする高級車で渡るなんてこの国の人たちの気が知れない。
とはいっても一応は向こう側に道がついているあたり怪しい限りである。どうやって渡るのか一度はみてみたいものである。
あと500mほど行けばというところでいつものお茶の時間である。
砂糖を何杯入れるかという冗談を言いながらビスケットと共に流し込む。
最近デイブはどこかのテスターをやっているらしくロッドを見せてきたどう思うか?ときかれたので
折れるならココだろうと言って返した。なんというか私が好まないタイプの一般世間向けのティップの柔らかい
面白くない竿だった。先にも述べたが絶対的多数が支持するロッドは基本究極というかベストのうちにも入らないキャスティング
性能であることは間違いない。それをテストも何も無いだろうと思いつつも自分の竿で60mは軽く離れている対岸の立ち木に
ルアーを打ち込む。バラマンディロッドは基本ティップがやや柔らかいバットがしっかりしたものが多いが
それは標準的なスタンスでの話である。20mかそこいら以内の釣りならそれで十分だがこっちはその4倍のエリアを
実釣エリアとしてみているわけで竿の柔らかさなど気にする必要などまったく無いのである。弾くもなにも
そこまで飛ばしてからの話である。我々の場合もうガイドとは長いので判ってはいるが6−70mの川幅の片側
20mラインを流すということはそっち側を釣らせたいからという意思があってのことである。ところが我々クラスの
場合反対側のシェードから魚を抜くのは朝飯前である。そんな世界にいる自分が嬉しくてココに来ているわけで
訳の判らない型になどはまる必要はまったく無いのである。という自己中なつりを重ねていいサイズを幾つかたたき出した。
いい調子で魚は釣れ続けデイブともかなり離れてしまった。12時を回って彼らを待っていると
デイブがオールで黙々と漕ぎながら降りてきた。というかちと怒り気味である。
何故かと言うとこうである。例のハウスフィッシングに慣れていない日本人は同じ場所に
とどまった場合違うポイントに10回以上投げるなんて通常はしない。ところがココあたりの人の場合
100回投げる事だってあるのである。何故なら1つのハウスから2−30抜けることは普通にあることである。
そのため斑はあって暫く休ませても投げ続けるということを押すのである。 通常のキャスティングのつりの場合
同じ距離感ならキャストは精確になるのでガイドは釣り人に合わせてそれをさせるのだが
彼らはそれをわからずにガイドの指示どおりに投げないことでデイブが怒ったのである。だが
その日の夜日本人がこのことを知らないのだということを説明して納得していた。まあガイドに気を使って
我々がデイブのボートに乗ることにした。エレキのバッテリーがだいぶ無いそれもそうである。
流れは朝はやや引いていたということは登りだった、で今は上げに変わってそれを降りるにはまた
動力が必要になっていた。木をかわし、エンジンで引っ張りキャンプに向かって釣りをしてゆく。
次にこれるかどうかは不明である。もう少しでかいボートなら行きたいと思うがココに来ると自分がそれ以降
生きられなくなる可能性のほうが素晴らしく高いので考えるところが多い。(笑)
ポートを車で引きずりあげてとりあえずその日はそれで終了であるが当然薮を漕いで
夕飯前の魚釣りは行った。巨大なスーティグランターを2匹釣って終了だった。
次の朝ボートを片付けているのでその間他の連中はラグーンにいった
私はというと昨日のうちに見つけておいた支流のジャンルを更に奥に行って見ることにしたのである。
一見浅いが奥に行けば必ず深い場所があるはずである。薮を漕いで奥に行って見る。ヘビの匂いが濃厚なので
かなりゆっくり歩くが実際現物を野生でみたのが2回なのでどういうところにいるのか想像つかない
このあたりの毒蛇は90%は地面にいるといわれているが絶対が無い以上かなり慎重に歩いた。
前日のポイントから50m程行ったところに対岸に沈む大きなティンバーの中が穴になっているものを発見
その直後その中からサラトガがゆっくり雷魚のように出てきた。デカイ70センチは軽くありそうである。
そいつの鼻先にキッカーフロッグを投げつける。浮かんでいるカエルに鼻先をくっつけてから食いついた。
思いっきりあわせて上あごにフックした。狭い川なので一気に上がるがすり鉢状の川なので斜面を持ち上げて上まで持っていく必要があった。
で川から高さ5mほど持ち上げて地面においたらフックが外れて暴れだした。とっさに魚と一緒に坂を転げて川原へ
気がついたら逆さまにぶっ倒れていた。魚は竿一本先の柔らかい泥の上にいる。取りに行くか迷った隙にまた暴れて
水の中へゆっくりと川を下っていってしまった。かなり惜しかったが川に落ちなくてよかった。
一口で薮といっても色々ある、ジャングルという意味合いはブッシュファイヤーの多いこの地方には
あまり無い。写真の程度であることがほとんどで水辺から離れると更に歩くのはさほど苦にならない。
この辺りの土壌なのか火のせいかはわからないが、木の発育自体はあまりよろしくない。
窒素リンカリという栄養素を知っているだろうか?その中の成分でこの辺りの土壌に
含まれるアルミの成分との結合が著しいものがあるというのが実際かもしれない。
ボーキサイト層はかなり浅いところに形成されている。基本ミネラルの沈殿というのが通説である。
柔らかく尚且つ滑りやすい地面となり。川の周りは特に歩きにくい。トレーラーと車に荷物を積み込み
さあ帰るかと思いきや更に奥地へ行って見るというかいつものオカッパりの予感である。
ストーンクロッシングからやや上流部にそれは位置する。そこに車を止めて私と桑野氏は
心を満たしに川を渡り釣りに行く「時間は2時間だと」言われているがそれを守れるか?不安である。
というかバイクならここまで来る自信はかなりある。のでほったらかしておいて欲しいぐらいである。
とはいっても他の人に迷惑もかかるのでやや用心気味でそれを行う。
毎年の事ながら川の表情は少しずつだが変化している。基本岩は削れないのでその前後のサンドバーの形が変わるというのが正しい。
そのサンドバーによって狭くなった川筋に目をつけルアーをキャストしてゆく。ここで有効なルアーはシンペンと
小型のミノーである。ロッドは70hという硬いロッドを用意した。既に柔らかいロッドでのフックの限界を感じているので
鋭くあわせてフック圧を適正にかけるという方向で釣りを展開することにしたのである。
今回その作戦はかなり成功している。合わせ幅も大きくおまけに硬いことから自分の能力をある程度増幅できるからである。
桑野君は標準的な硬さのロッドを使っているストライクをとるのはかなり苦労している。彼のテクニックではなく
ロッドの問題といえると思う。
立て続けに2匹サラトガが釣れて喜んだ。岸にはよれないので特にファイト直後は危険なのでづりあげである。
魚にやさしくといわれたがやさしくしたくなった時は釣りを辞めるときなのでそこそこの対応でいつも釣りをしている。
この魚本当に握りが難しいエラブタとエラの間をエラをきずつけないように握って持つのが通常である。
口の肉も薄いのでボガもあんまりよくは無い感じである。
時間も無いので更に奥に行くと川岸がどん詰まりになっている。そこで
薮を大きく迂回して先に出るそこで桑野君がまたしてもばらして更に奥地へ
45度斜度の川岸を木の根にジャンプしながら前進していい感じのところに到着かなりカバーが深い場所だが
サラトガも泳いでいるそこにルアーを入れると独特の動きでヒットするのだがあわせにくいのである。
後ろで釣っていた桑野君がいいサイズを釣り上げる。
私も倒木のうえからアンダーハンドでその先のポイントから4−5回のアタックの末ヒットさせる。
実のところこの釣り中毒状態なのでもう少し行きたかったが既に時間である。急いで検討をつけた方向の薮に入って車に
向かった。案の定ガイドは不機嫌であるが自分的には幸せだった。